こんな時、どうする? No.2 「離婚した夫が連れて行った愛犬を取り戻したいが・・・」

早い相談が功を奏した!《東村山市在住・35歳・預貯金とくになし・F子さんのケース》

F子は35歳。専業主婦だったが5歳年上の夫が社内に愛人をつくり、先日、協議離婚が成立。夫が家を出て行ったため、とりあえず結婚時のマンションに一人暮らしとなってしまった。家具や生活の必需品は全部置いて行ってくれて、しかも慰謝料ももらったので当面の暮らしには困らない。心の傷が癒えるには時間がかかるが、気落ちしている今のM子に引っ越しをして新生活を始めるパワーなどなく、そういう意味では、当分生活を変えなくていいことに安堵するのだった。ただ1点を除いては……。何と、元夫は家具と生活必需品を置いていってくれたはいいものの、F子の宝物だった愛犬のトッティー(パピヨン・オス・7歳)を連れて出て行ったのだった。二人で可愛がっていたトッティーだが、時間をずっと共有していたF子がやはりご主人様であり、F子にとって、夫のいない暮らしには我慢できてもトッティーのいない暮らしは我慢ならなかった。毎日毎晩、トッティーを想うと胸が苦しくなり、夫へ湧いてくるフツフツとした怒り。そんな日々を2週間過ごした後、遂に、重い腰を上げトッティーを取り戻すべく相談に、ペット法務を専門とするM行政書士事務所を訪れたのだ。

 

トッティーは新婚当初、姉のプレゼントで家に来た私の相棒

27歳の時F子は、結婚を機にOLを辞職し実家を後にした。それまで、やはり結婚して実家を離れた姉を除く、父母と弟二人との賑やかな5人暮らしだった。そんなF子には、帰りの遅い夫を待つ新婚当初の日々は寂しくて耐え難いものだったのだ。ある日、F子宅を姉が訪れてきた。姉の手には生後3ヶ月の子犬が入ったバスケットが提げられていた。寂しい毎日のM子を心配して、姉が思いがけないプレゼントをくれたのだった。

F子は大喜び!!さっそく大好きなサッカー選手に因んで「トッティー」と命名。こうして、F子とトッティーの新生活がスタートしたのだった。それからの日々は、F子にとってトッティーなしには考えられないものとなった夫がいない時もいつも一緒。夫がいる時も三人で一緒。動物好きの夫もトッティーを大歓迎してくれて、土日は三人(二人と一匹)で、お散歩がてら近くのドッグカフェを順番に回るのが毎週の恒例となった。7年間の結婚生活を語る上で、トッティーは欠かせないキーパーソン(キードッグ)なのである。だから、夫にとってもトッティーが大切な家族であることもM子は理解できないわけではない。だが、しかし……。やはり、姉からプレゼントされた思い入れのあるトッティーを勝手に連れて行かれたことには、どうしても納得がいかなかった。「あなたには愛人がいるじゃない。でも、私には誰もいない。不公平じゃない。せめてトッティーを置いて行ってくれるのが優しさじゃないの?」いつも、そんな想いに囚われてしまうのである。果たして、F子は愛犬を取り戻すことができるのだろうか?

解決策 1

M行政書士 「難しい一件ですね。まずは、元旦那さんと話し合いを持つことです。お姉さんにプレゼントされたとはいえ、結婚期間中に二人で決めて飼い始めたのだから、ある意味、トッティーは二人のお子さん同然でしょう。ただ、子供と違って犬は人間ではないので、犬の権利や意思を持ち出すことはできません。二人で話し合って、お互いの納得のいく決着をみるしかないと思います。

「提案 その1  金銭的解決方法」

金銭的な解決方法として、元旦那さんがF子さんに新しい犬をプレゼントしてあげるのはどうでしょうか?離婚した元夫という感情的な部分もあるので、購入代金相当分をもらうということで、F子さんが了承してくれれば、これが一番早くて現実的な解決方法でしょう。

「提案 その2  タイムシェアする」

F子さんが、“どうしてもトッティーでなければならない”という場合は、元旦那さんとタイムシェアする方法があります。たとえば、“1週間交代で面倒を見る”などです。犬にとっては家が二つになって戸惑うこともあると思いますが、両方とも信頼している飼い主なので、その状況に慣れてくれば一方は自分の家、一方は別荘という感覚で行き来すると思います。ただ、個体差があるので、犬がそういう生活に馴染むかどうかは、実際にやってみなければわからない面もあります。

また、生き物のタイムシェアのルールは、綿密に決めておく必要があります。ケガや病気など突発的な事態が起こった時に、どちらの責任なのかその所在をはっきりさせることが重要になってくるからです。

「提案 その3  信頼できる第三者を飼い主に!」

「お二人の信頼できる第三者に預けて、好きな時に会いに行けるようにすることも不可能ではないでしょう。たとえば、F子さんの実家やお姉さん宅、それでは、元旦那が気まずいというなら、元旦那さんとF子さん二人の共通の友人で犬を飼いたがっている人やすでに飼っている人などに預ける、ということです。そのような第三者が見つからなければ難しいですが、契約書などをきちんと作れば一番公平で無理のない解決策です」


《結局、F子さんはどの方法を採ったのか?》

F子さんは、上記3つの案を前提に旦那と3回の話し合いを持ったが、双方の納得いく結果には至らなかった。当初、F子さんが語っていた「トッティーは相棒だから毎日一緒にいないと意味がない」という気持ちは翻らなかったのだ。かといって、力づくでトッティーを連れ帰るわけにはいかない。そこで、M行政書士はある奇策とも言えるべき提案をした。果たして、顛末はいかに?


解決策 2

M行政書士 「二人の話し合いでラチが明かないこのケース。そこで目をつけたのが、元旦那さんと一緒に暮らす愛人のY美さんです。つまり、元旦那さんがトッティーを連れて行ったということは、必然的にY美さんとも一緒に暮らすことになるわけです。そのことが、果たしてY美さんの希望でもあるのか? という点がポイントになると考えました。旦那さんに確認すると、Y美さんも同じ気持ちだというばかりです。しかし、直接本人に確認してみなければ本当のところはわかりません。そこで、Y美さんを交えて話し合いの場を持ってもらうことにしました。Y美さんの遠慮のない本音は、“犬を飼うなら新たに二人で選び子犬から育てたい“という気持ちであることがわかりました。もっとも犬より先に、人間の子供の方が欲しがっているとお察ししましたが(笑)……。そのY美さんの本心を旦那さんがよく理解され、トッティーをF子さんに返すことを了承されました。更に、元旦那さんとF子さんお二人の話し合いの結果、F子さんがもらった慰謝料100万円を50万円に減額することで落ち着きました。こうして、F子さんはついに、トッティーを取り戻したのです。この間、2ヶ月。感情的なもつれが二重三重になっている問題だったわりには早い解決をみました。この、短時間の解決という点が、F子さんにとって非常に良かったと思います。なぜなら、トッティーが愛人のY美さんに懐いてしまった後では、F子さんが取り戻すのに非常に不利だからです。裁判になって長引くならなおさらです。何はともあれ、双方にとってまたトッティーにとっても、お二人の話し合いで決着できたとは喜ばしいことです」


☆解決のポイント  

  生き物の相談・解決はスピーディーに!


 注: このストーリーと同様に行動すれば、同様の結末になるとは限りません。

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